台湾南部、台南市からこのほど、パイナップルの名産地として知られる関廟産の冷凍パイナップルが日本に出荷された。今回出荷されたのは8.5トンで計1,000箱。同市の黄偉哲市長によれば、農業局の主導で果物の加工に力を入れることで農産物の輸出拡大に取り組んでおり、今回はパイナップルに特化した急速冷凍技術を利用し、農産物輸出のネックとなっている保存期限を延ばすことに成功した。
台南市農業局の李建裕局長によれば、台南市はパイナップルの栽培面積が台湾で2番目に多い。収穫期は4~5月のため販売時期は短く、運送コストや検疫などの課題に対応するため輸出戦略を立て、加工品の輸出割合の拡大に取り組んでいる。今回輸出された冷凍パイナップルは、収穫された21トンの作物を使って、15℃の低温で皮をむきカット、包装した上でマイナス18℃以下で35分間の急速冷凍を経て新鮮な味わいをとじ込めている。
同市ではパイナップル輸出のため、生産者から加工業者、輸出商社が協力してサプライチェーンを整備した。冷凍品として加工することで、これまで上半期しか供給できなかった台湾パイナップルが、通年の需要に対応でき、日本の消費者から引き続き高い評価を受けたいとしている。
行政院農業委員会の統計によれば、今年上半期、台湾の農産物輸出は、米国、日本、中国が輸出先の上位3位を占めているが、日本の比率が年々伸びており重要なターゲット市場となっている。また、中国からの禁輸措置を受け、台南市でも輸出市場を他の国々にシフトさせる中、日本は最大のパイナップルの輸出先ではあるが、このところ船便の発着が不安定となっており、また病虫害などで輸出品の品質にも影響がでていた。黄市長によれば、この課題をクリアし、かつ本来の風味を守るため、急速冷凍と真空パックで保存期限を延ばし、付加価値を上げることで農家の利益も拡大することが期待されているという。
台南市では、パイナップルのほか、ブンタン(文旦)やマンゴーなどの加工品の開発や、海外市場調査なども進め、現地の消費者のニーズを理解することで台南農産物をより多くの国々に輸出したいとしている。